下肢静脈瘤手術

下肢静脈瘤について 下肢静脈瘤の検査下肢静脈瘤の治療 下肢静脈瘤治療の流れ治療にかかるご費用について(入院)下肢静脈瘤についてのQ&A日常生活で気をつけること

下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤とは?

正常な弁と病変がある弁

心臓から動脈を通って足に送られた血液は「静脈」を通って心臓に戻ります。立っていると重力に逆らって足から心臓方向に血液を送る必要があるため、「静脈」にある弁の働きによって血液が逆流しないようになっています。この弁が壊れると逆流が生じ、足に血液が溜まってきて、静脈がこぶのように腫れてきたり浮き出したりします。これが「下肢静脈瘤」です。
下肢静脈瘤は美容師・調理師など長時間の立ち仕事の人、また妊娠を経験した人に発症することが多いとされる病気です。

下肢静脈瘤の症状

  • 足の血管が目立つ
  • 足がよくつる
  • 足がかゆい
  • 色素沈着がある
  • 足がむくむ、重い、だるい
  • 足が痛い
  • 皮膚炎、湿疹がなかなか治らない
  • 潰瘍ができている

最初はぼこぼことしたコブがあったり血液が浮き出て見える程度で、足の具合が悪くなることはありませんが、足に血液が溜まってくるので、重さやだるさを感じたり浮腫み(むくみ)が出たりします。
ふくらはぎがつる(こむらがえり)のもよくある症状です。さらに進行すると皮膚の血液の流れが悪くなり、かゆくなったり、色が黒ずんだりしてきます。一番悪くなった状態が、皮膚がはがれ落ちた潰瘍(かいよう)の状態です。

下肢静脈瘤の症状

下肢静脈瘤の検査

下肢静脈瘤の診断をするためには、下肢静脈超音波検査やABI検査を行います。

下肢静脈超音波
(下肢静脈エコー)
最も一般的な検査で、超音波をあてて血液の逆流がないかを観察します。痛みがない検査です。
下肢静脈超音波について
ABI検査
足と腕の血圧を測定して、足の血液の流れを調べます。
ABI検査について

下肢静脈瘤の治療

当院における治療

当院では次のような治療を行っております。病状によって治療の方法が変わってきますので、医師が患者さん一人一人に合わせて最適な治療法を選択いたします。

血管内治療(ラジオ波)

細い管(カテーテル)を静脈の中に入れて、内側から熱を加えて焼いてしまいます。焼いた静脈は硬く縮み、治療後半年ぐらいで吸収されてなくなってしまいます。再発がほとんど無く、痛みが少ないこと、傷が目立たない事が特徴で、後述のストリッピング手術に変わる治療法として静脈瘤手術のスタンダードになっています。当院ではラジオ波(高周波)アブレーションカテーテルによる下肢静脈瘤血管内焼灼術を行っています。

ストリッピング手術

ふとももやふくらはぎの逆流している静脈を手術で取り除いてしまう治療です。再発が少ない根本的治療ですが、ラジオ波などによる血管内治療に比べて体への負担が大きく、手術後の痛みや出血などのリスクがあるとされています。

静脈瘤切除

ボコボコと隆起している部分を切除する方法で、ストリッピングやレーザーなど他の手術と併用して行うことが多い治療です。スタブアバルジョン法といって、特殊な器具を使って非常に小さい傷(1~3mm)だけで静脈瘤を切除します。傷が小さいため縫う必要がなく、傷痕が残りにくく痛みも少ないとされています。

下肢静脈瘤治療の流れ

当院では入院および日帰りの下肢静脈瘤手術を行っております。日帰り手術は、手術日の翌日に処置が必要となりますので、翌日にご来院いただける方のみとなります。

下肢静脈瘤治療の流れ(入院)

初回受診

初回受診


術前再診

術前再診


入院手術

入院手術


術後再診

術後再診



下肢静脈瘤治療の流れ(日帰り)

初回受診

初回受診


術前再診

術前再診


日帰り手術

日帰り手術


術後再診

術後再診



治療にかかるご費用について(入院)

内容 金額※
初診時(初診料+超音波検査+ABI検査)
手術前検査
(心電図・胸部レントゲン・心臓超音波検査・血液検査など)
外来 約15,000円
入院手術 金額※
ラジオ波(高周波)血管内焼灼術 入院 約70,000円
ストリッピング手術 入院 約70,000円
術後再診 金額※
再診時(再診料+超音波検査+創傷処置) 外来 1回につき約2,000円

※片足の手術にかかるご費用です。
※入院手術は手術代を含む1泊2日の入院費のみです。(別途食事代、個室代)
※1割負担の患者様の場合は3分の1の金額になります 費用はあくまでも概算です。患者さんの基礎疾患・病状・合併症や検査内容などにより、金額に差が生じることがあります。
※診療報酬改定により金額が変わることがあります。

下肢静脈瘤についてのQ&A

Q.下肢静脈瘤の治療は両足を同時にできますか?

A.当院ではラジオ波手術、ストリッピング手術は片足ずつ行っています。両足同時に行うより体の負担が軽く、より安全にできると考えているからです。両足続けて治療する場合は、1ヶ月ほど間隔をあけて行っています。

Q.血管内治療で血管を焼いて固まったあと、その血管を流れていた血液はどうなりますか?

A.足にはふとももから足首にかけて太い静脈が足のやや深いところを流れています。静脈瘤の原因となっている血管は皮膚の近いところを流れています。そのため、原因となっている血管を閉塞させてしまっても、足全体の血流には問題ありません。ふくらはぎの静脈瘤は近くの血管と多くのネットワークを形成していますので、自然に深部の静脈に流れていきます。

Q.ストリッピング手術で血管をとってしまって本当に大丈夫でしょうか?

A.ストリッピング手術でとる血管は無くなっても問題ありません。血液は残っている血管の枝を通って流れます。

Q.治療を受けた後、生活に制限はありますか?

A.シャワーは当日、温泉や激しい運動・トレーニング・プールなどは1週間程度控えてください。日常生活は問題ありません。飲酒は2~3日お控えください。

Q.手術中は痛いですか?

A.点滴の針を刺すときに痛みを感じることはありますが、後は麻酔で眠っている間に終わります。

Q.高血圧や血液をサラサラにする薬を飲んでいますが、手術はできますか?

A.高血圧の薬などは基本的に問題ありません。手術前に中止していただくお薬は担当医と確認させていただきます。受診の際には現在飲んでいるお薬がわかるようにお薬手帳などをご持参ください。

日常生活で気をつけること

下肢静脈瘤の症状を軽くしたり進行を防ぐためには、足の血液を心臓へ戻すことがポイントです。生活習慣など原因となる環境から改善するなど日頃からケアすることが大切です。

運動・マッサージ

長い時間立っていると足に血液が溜まり、病気が進行しやすくなります。1時間に1回5~10分ほど休憩をしたり、できるだけ歩き回ったり足踏みをしてください。また、パソコンなどのデスクワークでイスに長時間座ったままの状態も足に負担がかかりますので、定期的に足首を回すような運動をしたり、足台を置いて足を上げて休ませましょう。お風呂で足のマッサージをしたり、就寝時に足を高くするのも効果的です。

弾性ストッキングの着用(保存療法)

足全体をほどよい圧力で圧迫する医療用弾性ストッキングを着用することで静脈血の流れを助け、循環をよくします。弾性ストッキングは足首から段階的に圧力が弱くなっており、心臓に向かって血液が流れるように考えられて設計されています。ただし、下肢静脈瘤の進行防止が目的となりますので、病気そのものが治るわけではありません。医師の指示の元に着用を行いますのでご相談ください。

当院には日本静脈学会認定「弾性ストッキングコンダクター」が在籍しております。


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