生活習慣病の予防と治療
食事について 運動について たばこについて 薬物療法について 日常生活の注意点
生活習慣病は、かたよった食事・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスなどが原因ですので、日々の生活を改善することで予防することができます。特にバランスのとれた食事や運動を行うことで肥満をはじめとするリスクを取り除くことができ予防につながります。
また、生活習慣病と心臓病は密接に関係しています。生活習慣病を予防することによって、心臓病の予防にもなります。
食事について
生活習慣病の人の食事療法
生活習慣病の人の食事療法としては、高脂血症、高血圧、糖尿病、肥満などの原因となる食生活の改善を考えることが大切です。そのためには、カロリー・塩分・コレステロールに注意して、バランスのよい食事をすることです。
バランスのよい食事とは、からだに必要な3大栄養である炭水化物、たんぱく質、脂質のほか、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を、過不足なく食事の中で補給することです。主食、主菜、副菜の組み合わせが適切であることが大切です。
6つの基礎食品から、1日30品目を目安に、多くの食品から、各栄養素を補給するのがよいでしょう。
特に、現代は食事の欧米化に伴い、脂肪製品、乳脂肪が多くなっている事が問題とされています。
1日のエネルギー量(カロリー)について
あなたが、1日にどれだけ食べてもよいかについては、あなたの体重(標準体重)や日常の活動量によって変わります。適量を超えたエネルギー摂取は、肥満につながるばかりでなく、生活習慣病の危険因子を促進します。
具体的な栄養の取り方やその注意については、地域の保健師、栄養士さんやかかりつけの医療機関に相談するとよいでしょう。
エネルギー量の計算の仕方(例)
身長(m)×身長(m)×22(BMI)=あなたの標準体重(kg)
あなたの1日のエネルギー量(カロリー)=標準体重×30※kcal
※の数字は、あなたの日常の活動量によって下記のように数値が変わります。
軽い作業の場合 : 25 ~ 30kcal
中程度の作業 : 30 ~ 35kcal
やや重い作業 : 35 ~ 40kacl
- 軽い作業の人 : 通勤、買い物、家事、ほとんど座っているような仕事の場合
- 中程度の作業 : 接客、家事など立つ事の多い仕事の場合
- やや重い作業 : 農業、漁業、建築など筋肉作業がある程度必要な仕事の場合
お酒は適量としましょう!(下は1日量の上限。週に1~2日は休肝日を設けましょう)
運動について
運動療法について
生活習慣病を改善するために、食生活と併せて運動を行うことはとても重要です。適度な運動を行うことで、血圧の低下、糖尿病の改善、脂質異常症の改善、肥満解消、ストレス解消の効果が期待でき、さらに動脈硬化や心臓病の予防にもなります。 なお病気によって運動が制限される場合もありますので、医師のアドバイスにより適切に行ってください。(たとえば、心不全と診断された人には水分や塩分の制限をし、安静を保つことが鉄則です。)
主治医に相談して行うようにしましょう
どのように運動をすればよいのか?
適宜水分をしっかり摂りながら運動をしましょう。
また次の人は運動療法の適応にはなりませんのでご注意ください。
(1)急性期の心筋梗塞の患者さんや中程度以上の心不全の人
(2)危険な不整脈が出現する人
いつ行うか | 食後1時間以内を避け、夏場は涼しい時間帯を選ぶ。 |
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どのような強さか | 有酸素運動をしましょう。脈拍は120を超えない程度。 |
どれくらいの時間行うか | 1分間に80mのスピードの歩行を1回20~30分間、歩行に専念して1日6000歩。年齢によって異なるので主治医と相談してください。 |
どれくらいの頻度で | 週3回程度(1回につき、15~20分以上) |
どの種類の運動をするか | 歩行、軽くジョギング、競技性をなくした卓球、バレーボール、ミニテニス、バドミントン、水泳、サイクリング、スキー |
避ける運動 | ×歯を食いしばるような運動 ×腹圧のかかるような運動 |
たばこについて
タバコを吸っていると、どのような影響があるのでしょうか?
タバコは若い頃から嗜好するために、その悪影響は非常に大きく、心筋梗塞、脳梗塞の一番の原因となります。病気の再発を防ぐ為にも、新たにならない為にも、禁煙は絶対条件です。自分で禁煙できない方は禁煙外来をご利用ください。
タバコで血管がさびる??
タバコの煙には多くの有害物質(150種類)と発癌物質(30種類)が含まれており、循環器への影響は主にニコチンや一酸化炭素によるものです。
- ニコチンの影響
- タバコを吸うと、ニコチンが交感神経を刺激するために、血圧が上がり、脈拍が増えます。一服のタバコで、収縮期血圧(上の血圧)が、約20mmHg程度上昇し、心拍数も1分間に約20回前後増加するといわれています。★ニコチンは麻薬の一部でその依存性がやめられない最大の原因です。
- 一酸化炭素の影響
- タバコに含まれる一酸化炭素を吸い込むことで、血液中の酸素不足が起こり、心臓に負担がかかります。血管の内皮細胞にダメージを与え、血管収縮や血液凝固、動脈硬化をもたらします。
- コレステロールへの影響
- 喫煙はHD(善玉)コレステロールを減少させ、動脈硬化を促す酸化LDL(悪玉)コレステロールを増加させます。
禁煙すると、こんな利点があります
健康への影響について
- 脳卒中や心筋梗塞を起こす危険性が低下する
- 肺機能、脳血流が回復する
タバコを吸わない周りの人への影響がなくなります。
タバコをやめるには…
一例として、禁煙補助薬を使用する方法があります。当院では禁煙外来を行っております。興味のある方は、適性検査を行いますので、申し出てください。
薬物療法について
薬の飲み方と注意事項
守ってください
- 決められた量を決められた時間に服用しましょう。
- 内服する薬は、十分量の水または白湯で服用しましょう。
こんな時は、主治医、薬剤師に相談を
- 飲み忘れた
- かえって調子が悪くなった
- 内服後胃がもたれる、ブツブツが出てきたなど、気になることがある・・・など。
こんなことはいけません
- 同じ病気の同じような症状の人が使った薬がよく効いたからといって、決して試さないでください。
→時に命取りになります。 - 唾液で飲み込む
→食道や胃が荒れることがあります。
薬の保存
- なるべく涼しい所
- 湿気のない所
- 直射日光のあたる所
- 湿気の多い所
定期的な薬については、服用期間中に使い切ってください。数ヶ月後に再度服用する時には主治医に相談をしてください。頓服の薬を含め、正しい保管をしていても1年程度を目安に新しくした方が無難です。
服薬記録をつけましょう
- 服用している薬(特に頓服の薬)の記録をつけてみましょう。
- 発作の回数などの症状、体重、血圧、行動も一緒に記録しましょう。
これらのことから、病気の状態、薬の効果がはっきりします。
自己判断せず、必ず主治医と相談してください!
日常生活の注意点
日常気を付けること
これではいけません
仕事などによるストレスでイライラ焦ったり、脂っこい食事や不規則な就寝時間などの生活を続けていると、生活習慣病や心臓病を引き起こすきっかけとなってしまいます。